「炭素」ほしい病


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こんにちは。

自然科学系の読みたい本を積読してるのに5月に入ってから晴れ続きで(毎日朝から夕まで農作業)、なかなか読書できないでいる代表の伊藤です。

この時期、ほとんどの農家は農繁期で毎日仕事に追われているんではないでしょうか。

田畑の畦の草刈や水稲の苗代管理、夏野菜の定植などなど、やることはめちゃくちゃたくさんあります(汗)

シンフォニアファームは夏野菜の定植を6月に予定しているため、現在絶賛育苗中ですが、無肥料での育苗は大変困難を極めております。

今月休みなくフル稼働していきたためか、若干精神的に参ってきているのも正直なところです。

幸い今日はひさびさの雨、しかもまとまった雨が降るということで、スタバに来てコーヒーを飲みながらPCで記事を書いている次第です。

ちなみに今回は、「炭素をくださいっ!」という切実なはなし。

過去記事のなかで何度か書いてますが、シンフォニアファームの畑では(人為的に)作物に肥を与えず、植物と共生をして植物を「育て」ている微生物たちに食事をたくさん食べてもらうことで、土中バイオマス量を森林のそれよりも増大させ、微生物に作物を栽培してもらうという考え方ですので、なにより必要なものはというと「炭素」、資材でいえばC/N比(窒素に対する炭素の割合)40以上の高炭素有機物、しかも堆肥化しない生の資材です。

堆肥化すればリグニンやセルロース、ヘミセルロースの分解過程でせっかくの炭素が大気中にCO2として逃げていってしまうのでやりません。温室効果ガスを増やすことになります。温度管理や切り返しなどもたいへん手間な肉体労働です。

人間が新鮮な食物繊維を好むのと同様、微生物(とくに菌類)が一番好むのは生か半生の炭素化合物だと考えています。ちなみにリグニン等の超難分解性炭素化合物を分解できるのは菌類のうちキノコ菌などの木材腐朽菌ですが、ヒトはもともと菌類からの分化だそうです。どちらも酸素呼吸でクエン酸回路(TCAサイクル)でエネルギー産生する仲間ですね。

シンフォニアファームの4枚の畑のうち一番広い3反(3000平米)の畑でも、昨年秋に各畝に新鮮な落ち葉を浅く漉き込みました。浅く入れるの理由は、酸素が届かない深いところに有機物を入れると好気性である菌類が炭素分を分解できず、嫌気性バクテリア優位となって腐敗が始まり、アンモニアやメタン、硫化水素、作物の窒素吸収阻害物質を生成してしまうためです。

落ち葉などは比較的分解が早いほうなので、冬の間低気温でも活動しやすい菌類の独壇場になってすぐに分解されるはずですが、春になってもまだ落ち葉が結構残っていました。

はっきりしたことは分からないですが、もともと水田として使われていた圃場なので、還元環境下で好気性菌がほとんど存在せず、落ち葉分解菌などの繁殖が遅れているのかもしれません。

とはいえ、冬の間、菌類に大量に分解された有機物が、春先暖かくなることで急激に活動を始める細菌類によって一気に分解されて腐敗が起こりやすいので、ある意味ソフトランディングで良かったのかも、なんて思ったりもします。

今月はじめくらいに土の匂いを嗅いでみましたが、山土で感じ取れるような爽やかな匂いで、嫌な匂いはまったくしませんでした。場所にもよりますが、ほとんどの畝の土はとても柔らかく、粘土質の割に固く締まってなくて、指も軽く挿せる感じでした。腐敗が起きれば匂いもきつく、土も固く締まっていたはずです。

前置きばかり長くなりましたが、うちの畑では炭素率の高い資材が必要ということで多方面でそれらを探しています。

生竹を近くの農家さんからもらえそうなので、ウッドチッパー(ガーデンシュレッダー)というエンジン式の機械も購入しました(まだ届いてませんが)。これで生竹のほか剪定枝、トウモロコシの残渣などを粉砕して細かくし、畝の土に浅くすき込んで微生物のエサにします。

籾殻も頂ける農家さんがいらっしゃるため、先日、夏野菜予定畝に籾殻を投入していきました。籾殻は高炭素有機物のなかでもかなり分解に時間がかかる部類ですが、逆に言えば微生物のエサとして「長く効く」ということかもしれません。

というのも、エサ(炭素)不足で微生物が死んでしまうのだけは避けたいんです。菌類の外殻はキチン質でカニ・エビ類同様窒素分が多いため腐敗をきたしやすく、そうなれば作物は生理障害やいわゆる「病虫害」に侵されるということにも・・・。

いま一番ほしい炭素有機物は木材チップ。それも接着剤などの化学物質の混入の心配のある廃材によるものではなく、剪定枝や伐採木によるもの、かつ針葉樹より広葉樹によるものです。市内でも入手可能な場所は知っているのですが、そちらは有料で、牛ふん堆肥などと同じくらいの値段です。

新規就農でいろいろと出ていくお金が多い状況なので、できるだけ無料で手に入れたいと市や複数業者などに当たっていますが、なかなか市内や近郊で見つからない状況です。

数ある元素のなかで、炭素ほどミラクルな元素はないのかもしれません。私たち人間の体を構成する元素のなかで酸素(O)に次いで多いのが炭素(C)。さまざまな他の元素と安定的に結合して化合物を作れるのも炭素のすごいところです^^;

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