菊芋(きくいも)って、ご存知ですか?


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菊芋って?

突然ですが、菊芋(きくいも)ってどんな野菜かご存知でしょうか?

そういう僕は、2年前に農業の世界に入るまで具体的にどんなものか知りませんでした(汗)

菊芋(きくいも)は、その名のとおり「芋」ですが、見た目はショウガに近く、食感はレンコンや果物のナシのようにシャキシャキしていて、味はゴボウのような風味がして、一般的にはあまり味にクセがないと言われることが多いようです。

ちなみに、これが菊芋です。日本では白皮が一般的ですが、海外では赤皮も多く出回っているようです。

菊芋は英語圏では「エルサレムアーティチョーク」、フランスでは「トピナンプール」と呼ばれていて、北米が原産です。


菊芋の歴史

菊芋が初めに文献に出てくるのは17世紀初頭で、北米に住んでいたトピナンプ族という原住民が冬場の食料として食していました。

その17世紀初頭に、とあるフランス人探検家が母国に菊芋を持ち帰り、生命力旺盛で栄養豊富、自然療法にも長く用いられていた菊芋は、当時のフランス国王にも献上されたという記録もあるそうです。

その菊芋は、古今東西の歴史のなかで、数多くの人命を救ってきました。

フランスから北米に渡った入植者が飢餓に陥った際に菊芋によって命がつながれ、17~18世紀にかけて起こったヨーロッパの大飢饉の際にも、その生命力旺盛な菊芋によって数多くの命が救われた歴史があります。

日本も例外ではありません。第二次大戦中の食糧難では、菊芋は貴重な食料として当時の政府によって作付統制野菜に指定され、各地で栽培が奨励されるようになったようです。

戦中の主食といえば、サツマイモなど別の芋類を思い浮かべますが、サツマイモはデンプン(糖質)が多く、それだけ摂っていると、どうしても血糖値が急激に上がりがちです。その反動で低血糖になる場合もあります。

そこで、殆ど糖質がなく、イヌリンの働きで糖質の吸収を妨げる菊芋と一緒に食べれば、そういった血糖値スパイク(血糖値の乱高下、あるいはそれによる糖化ストレス)を和らげることができたのかもしれません。

無論、菊芋だけだとカロリーが低すぎて、基礎代謝のエネルギーを確保するのもままならなかったと思います。まさに効率的な芋+芋コンビ??なのかもしれません。

ちなみに、菊芋が日本に最初に伝わったのは、1853年にアメリカのペリー提督が黒船で来航した際とのことです。↓この方ですねw 感謝感謝。

その後、あの上野動物園などの設立に尽力した博物学者・農学者の田中芳男によって「菊芋」と命名されました。

戦後、食糧事情が改善すると、生命力が強すぎて雑草化してしまう菊芋は「要注意外来生物」として全国で駆逐され、しだいに忘れ去られてしまいました。

ところが、健康野菜としてとても大きな魅力を秘めた菊芋は、近年ふたたび注目されるに至っています。


菊芋の健康効果

菊芋には様々な健康効果が認められます。

例えば、他の野菜に類を見ないほどに菊芋に多く含まれている「イヌリン」という水溶性食物繊維の高血糖/高血圧/脂質異常症などに対する抑制作用について言えば、まだ学術レベルでは、体に効くメカニズムを含め、確定的なエビデンスが出ているとは言い難い状況のようですが、臨床レベルでは国内外で複数の治験において菊芋のもつ有効成分の健康効果が報告されており、「菊芋に健康効果がある」と考えるのに十分な裏付けがある、といっても過言ではないように思います。

イヌリンの効果を筆頭に、菊芋には下記のような様々な健康効果が挙げられています。

糖質/塩分の吸収抑制と解毒作用

菊芋はデンプンをほとんど含まない代わりに、他の野菜に類がないほどイヌリン(水溶性食物繊維)を豊富に含んでいます。イヌリンは胃の中でジェル状となり、腸内の糖分や塩分などを包み込んで体外へと排出するため、高血圧を防ぎ、食後の高血糖を抑えて、糖尿病予防にも効果があると考えられています。さらに、有害物質なども絡め取るので、デトックス(解毒)効果もあります。

整腸効果・便秘解消と美肌作用

イヌリンは腸内でオリゴ糖に分解され、腸内でビフィズス菌などの善玉菌のエサとなって腸内環境を整え、便秘改善にも。善玉菌が腸内で優位になることで、肌の新陳代謝も促進されて肌荒れや吹き出物が改善したという報告もあります。

減量効果

体に脂肪がつく原因は何よりも「糖質」。食後、血中の余分なブドウ糖(血糖)は、インスリンホルモンによって中性脂肪に変えられ、それが体重を増やす最大の原因です。菊芋自体、糖質を殆ど含まず、イヌリンによって一緒に食べた糖質も体外へと排出してくれるので、太る最大の原因である糖質を減らすことができます。

そのほかにも菊芋の健康効果として報告されていることがありますが、長くなりそうなのではしょります(汗)

ただ、菊芋に含まれるイヌリンは水溶性食物繊維であり、食べ過ぎると、人によってはお腹がゆるくなることもありますので、はじめからたくさん食べすぎないようにしたほうが良いかもしれません。


菊芋の食べ方と保存

残念ながら菊芋は、常温でそのまま置いておくと、数日で萎びてブヨブヨしてきてしまいます。菊芋を買ってきたら、できるだけ早く新聞紙にくるんで冷蔵庫に入れておけば、比較的長期間保存可能です。

実は今回栽培した菊芋を収穫して、キッチンに2日ほど丸裸で常温に置いておいたのですが、外部から水分が抜けて萎びてしまっていました。

ところが、そのあとボウルに水をためて菊芋を放り込んでおいたら、翌朝にはまた表面がカチカチに硬くなって、収穫したときと同じ状態になっていました。すごい生命力です。

もちろん、水に漬けていた間に多かれ少なかれイヌリンなどの有効成分が抜けてしまっていたかもしれません。

ですので、持ち帰ったらできるだけ早く新聞紙にくるんで、冷蔵庫で保存するほうが良いかと思います。

菊芋を長期間する方法として、菊芋チップスにするのもオススメです。

チップスといっても揚物ではなく、輪切りにした菊芋を自然乾燥(陰干し)する方法です。

乾燥剤と一緒に密閉袋に入れて冷蔵庫に入れておけば、1年間はもつと言われます。(まだ試しておらずすみません・・・)

これなら、イヌリンなど栄養豊富な菊芋を1年中摂ることもできますね(^^) ちなみに菊芋が出回るのは、晩秋11月から翌年3月頃までです。産地により若干の差はあります。

その他にも、生のままでサラダの具材として食べたり、ピクルスにして保存食にしたりすることもできますが、本場の欧米では、皮付きで茹でてドレッシングで和えて食べたり、シチューなどの煮物やバターソテー、炒めものや揚物など、幅広い料理で使われているそうです。

当農園:シンフォニアファームとしては、今年初めて収穫した菊芋ですので、現段階ではまだ一部の料理しか試していませんが、これから菊芋を活かしたいろんな料理に挑戦してみたいと思っています。

ちなみにこちらは、嫁さんが作ってくれたジャーマンポテトと、僕がしこんだピクルスです(^^)

もし、もっと菊芋のことを知ってみたいということであれば、こちらの書籍がわかりやすくてオススメです♪


 
 

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