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はじめに
シンフォニアファーム代表の伊藤です(^^)
SNSはせっせと更新してきたのですが、ブログのほうに気が回らず、だいぶ放置してしまいました…orz
9月に新規就農しまして、早くも10月中旬に突入しています。
10月といえば、こちら三田(さんだ)市では丹波黒えだまめの収穫期!ということで、ちょうど10月10日、シンフォニアファームとしてはじめての直売所デビューで、無施肥・無投薬で育てた初めての丹波黒えだまめを出荷したところです。おかげさまで完売致しました。
こちらの地域でおそらく誰も出荷用(経営栽培)で作っていない(はずの)、肥料・農薬ともに使わない丹波黒えだまめの栽培に挑戦し、結果として、株は慣行より一回り小さいものの、品質的にはきちんと出荷できるレベルのものができました(ノ^∇^)
地域の丹波黒栽培は慣行栽培(化成肥料・化学合成農薬ともに使用)ですので、自分がやろうとしている農法について聞ける方は周りにはおらず、かなり孤軍奮闘な感じでした。
この記事では、「無肥料・無農薬」、あるいは「無施肥・無防除」という言葉の僕なりの考え方についてまとめてみようと思います。
肥料・農薬を使わないことの表示
「無肥料」と「無施肥」、「無農薬」と「無防除」、それぞれどういったニュアンスの違いがあるのか。。
本来は「無施肥・無投薬」という書き方がしたいのですが、あまり馴染みのない言葉でピンとこないと考えたためで、便宜上「無肥料・無農薬」という言葉を使うこともあります。
肥料
肥料取締法の「肥料」の定義も関わってくるかと思いますが、まず肥料に関しては、「無肥料」という言葉は「土にそもそも肥料分が無い」状態というニュアンスを含んでいると思います。
ただ、畑であれば何年、何十年まえに肥料を入れたか不明な場合もありますし、その肥効が現在ゼロと言い切るのは難しいと思います。自分が畑を借りてから肥料(化成肥料だけでなく有機質肥料も)を投入していなくても、特に有機質肥料や堆肥は肥効ができるまで時間がかかる場合が多いのが現実のようです。
なので、「無肥料」と言ってしまうと、消費者にとっては「肥料分が無い畑で栽培している」と誤解を与えることになりかねないので、僕としては「無施肥」という言葉のほうが適切かなと思っています。
「無施肥」というのは、動詞的に「肥料を施さない」ということですので、畑に作為的に化成肥料や有機質肥料・堆肥(中熟堆肥など比較的肥効が期待できる広義の堆肥?)を入れないという意味合いになります。
農薬
そして、「無農薬」については、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」で販売時の表示が禁じられていますが(法的拘束力/罰則は無し)、ガイドラインで禁じられている理由として農水省は、「特別栽培農産物に係る表示ガイドラインQ&A」のなかで、
平成15年5月改正前のガイドラインの表示に使われてきた「無農薬」の表示は、生産者にとっては、「当該農産物の生産過程等において農薬を使用しない栽培方法により生産された農産物」を指す表示でしたが、この表示から消費者が受け取るイメージは「土壌に残留した農薬や周辺ほ場から飛散した農薬を含め、一切の残留農薬を含まない農産物」と受け取られており、優良誤認を招いておりました。
と説明しています(下線筆者)。さらには、
「無農薬」の表示は、原則として収穫前3年間以上農薬や化学合成肥料を使用せず、第三者認証・表示規制もあるなど国際基準に準拠した厳しい基準をクリアした「有機」の表示よりも優良であると誤認している消費者が6割以上存在する(「食品表示に関するアンケート調査」平成14年総務省)など、消費者の正しい理解が得られにくい表示でした。
とも付け加えられています。
前段については、農薬成分に敏感な反応を示してしまうアレルギー体質の消費者にとっては特に影響が無視できません。アレルギーをもつ方々にとっては、ほんの微量の農薬に対してもアレルギー反応を示してしまうことがあるため、農薬の含有が限りなくゼロに近いことが求められると思います(完全なゼロはないと考えています)。
シンフォニアファームの位置する兵庫県三田市の下深田という地域は、基本的には農薬や化学肥料を使う慣行栽培が行われている地域ですので、いくら自分の畑で農薬を使っていなくても、周囲の農薬が飛散する可能性は十分にあります。
そういった事情もあり、本来は「無施肥」同様、栽培期間中に作為的に農薬を散布していない、という動詞的意味合いのある「無投薬」という言葉のほうが適していると考えています。
少なくとも現時点において「無肥料」については、上記ガイドラインでは表示を禁じられているわけではありませんが(H30.8農水省の担当部署に直接電話にて確認済み)、やはり前に書いたように誤解を招く可能性は排除できないので、特別、注釈を入れる余地がある場合の除いては「無施肥」といった表示を使うように心がけていきたいと考えています。
とはいえ、冒頭でも触れたとおり、「無施肥」や「無防除」という表現自体が一般的ではないので、「非常に使いにくい」というのが正直なところです。
なにかいい表現はないかと思い悩む今日このごろです。